一里塚
門松は冥土の旅の一里塚
とはよく言うが、
この業界にいると、
門松よりも体育館に掲げられる国旗の方が一里塚のように思える。
この職場にいるのはあと何年かな。
この仕事をするのもあと何年かな。
この世に留まっているのもあと何年かな。
そんなことを考えながら、
壇上に掲げられた国旗を見上げ、
高さと角度を修正する。
一応、
今の職場は今年度で去ることになっている。
留まれる年数の上限に達したからである。
次はどこに異動となるのか、
そろそろ知らされるのであろう。
最初は人間関係が上手くいかず、
周りが敵ばかりで辛かった職場だが、
気が付けば人は入れ替わり、
居心地がよくなってしまっている。
そんな中で異動は嫌だなぁ。
と思う気持ちもありつつ、
早くあの副社長から離れたい、
という切実な願望もあり、
何とも複雑な心境で日々を過ごす。